かねてからエネルギーシフトには興味を持っていましたが、今回の視察で色々な事に気付くことができました。エネルギーシフトとは、今までの化石燃料を燃やしたり、それを使った発電に頼るのではなく、バイオマス発電や風力・水力・地熱などの再生可能エネルギーに創エネを移行することで、地球環境や人体への悪影響も無く、誰が考えても素晴らしい取り組みなのですが、なかなか前に進まないのが現状の様です。
ドイツやオーストリアでは盛んなようですが、日本でも自分の町のエネルギーは自分の町で造るという、エネルギーの自給自足を実現している町があるようです。今回視察した上野村でも、村の主産業が林業である事から、間伐材や商品にならない木材を利用してペレットを作り、発電やボイラーの燃料とし、高齢者施設や温泉、きのこ栽培の冷暖房に使用していましたが、これら設備のイニシャルコストは高額で、国や県の補助金なしでは賄うことは難しく、ランニングコストも赤字ぎりぎりとの事でした。
また、エネルギーシフトへの移行を阻む原因は大手電力会社の体制も影響しているようです。体制というより計画といって良いのかとも思います。視察の最後に上野ダムを見学しましたが、これは通常の水力発電所とは全く異なり、余剰電力のある夜間に、標高の低い所にある河川から高い所にある河川に水を汲み上げ、再度下に流し発電するという、理解に苦しむ代物でした。原発で作った余剰電力を使い夜間に揚水し、その消費電力よりも少ない量の電力を、電力不足の時だけ発電する為に造られた施設だそうです。しかもそれは都心の電力不足の時にだけ使用され、普段は殆ど使われていないそうです。
個人の感想としては、発電量も安全性も完全にコントロールできない危険極まりない原子力発電所(核発電所)で、実は溢れるほど電気を作り私達が払っている電気料金でこんな無駄なハコモノを造っていたことに驚愕しました。建設費用は教えていただけませんでした。そして、 この発電施設の固定資産税が上野村に年間12億円支払われているそうです。
こうして考えてみると、再エネに移行することは素晴らしい事に間違いはないのですが、それが補助金や大企業の思惑の下に於いて成り立っているようでは何の進歩もありません。再エネは自然と共生するものですから、それぞれの地域でその特性に合った再エネを探し、そしてそのエネルギーを販売するなどして、補助金を返していけるくらいにならなければ全国的なエネルギーシフトは実現しないのではないでしょうか。一人一人がエネルギーシフトの意義を理解し、誰の為でもない自分の為に、自分達の手で実現しようという気概を持たなければいけないと強く感じました。