成長企業に学ぶ・第3弾 経営事例研究セミナー
「 ワンマン社長から事業継承した若手経営者企業の成長と秘訣」
報告者:廣島電子工業株式会社 代表取締役 山根 茂 氏
日時:1月15日(木)午後6:30〜9:00 会場:戸田市商工会館
平成21年1月例会は、商工会との共催企画で、広島電子工業鰍フ二代目山根茂社長を迎えての新春にふさわしいものとなりました。講演で経営者は「決断力」が大事と力説した山根さんの言葉ではありませんが、今月の例会は他県の同友会からの紹介で、都丸会長と事務局伊藤さんが訪問したその日に即決入会した大興石油鰍フ岡田康社長と、本日入会手続きの起業支援センターで国税局からの脱サラ(?)創業という異色の税理士高木重利さんのバッチ贈呈からスタートしました。お二人の決断力の速さに脱帽です。入学おめでとうございます。今後の活躍が期待されます。
さて、先代とは温泉へ行ったり、戸田市の委員会や懇話会などでも存じ上げてはいるものの、企業としての浮き沈みから今日の成功の歴史やご子息の事業継承の経緯などがわかり大変勉強になる例会でした。障害者でもあり、社団法人厚生福祉車両会の会長でもある先代が広島出身であることからの社名の由来は知ってはいたものの、偏光サングラスという特殊製品を作る独自の技術があることや、それでも下請けゆえのバブル崩壊や今回の発注減での苦しさや新設工場の閉鎖などを経験し、工業部門から思い切った商業部門の新規事業への展開など、現在でも多角化や異業種交流での大いに参考になるでしょう。それもどちらかというと閉鎖的な既存の商店街でなく、新規の大型店舗へのテナント、ノウハウがない場合の中小企業にとっての速戦的なFC(フランチャイズ)展開と、新規事業、異業種進出への工夫が見られます。設備投資や回収が長い工業に対して、日銭が入るキャッシュフローの商業部門とのバランスでの資金繰りや、大型店都合の改装で休業に追い込まれるリスクからの多店舗展開と、企業としての成長の努力は見習うべきものがあります。その成果で現在、本業の工場を上尾に移転・拡大の準備と共に自社製品の直営とFC14店舗、売上が5〜6億円へと発展。工業が苦しい時は商業で、商業が不振の時は工業でと絶妙なバランス、社長は人生の「波」と言いますが、その波に乗る前向きな経営姿勢が伺えました。
同時に今話題の「天地人」の直江の幼少時(「わしはこんなところに来とうはなかった」)ではありませんが、「社長にはなりたくなかった」といいつつ、先代の親を盛り立て、弟さんがFC(商業)部門を、妹さんが経理をと、ヨーロッパ型の大家族主義的な経営方法で事業継承を成功させ、そうした「小さな体力でやっていける体質のおかげで生き残る」戦略を実践しているそうです。その大きな契機になったのが「経営革新計画」への挑戦だったといいます。普段、工場に閉じこもりがちなパターン化される生活の中で、どんどん積極的に人と出会い、展示会などに出かけてアンテナを張ることの重要性がわかっていらっしゃる方で、「社長、経営者になるのに免許があるわけではない」からとの人生哲学や経営の勉強にも熱心で、まさに同友会的な経営を実践している感じでした。一般の労働者との違いは、顧客や労働者、株主や関係者(ステークホルダーという)全てへの社会的責任を自覚し、覚悟して決断出来るか、失敗も含めて責任が取れるかということであり、また、そのために誰かに必要とされている存在であるかということだと、言います。山根さんはどちらかというと学校の教師になりたかったそうですが、まさに彼の結論からは「社長の学校」の必要性を再確認出来るものでした。私は残念ながら翌日6時起きの出張があり、めったに断らない二次会なのですが、講演後の皆さんは、新人歓迎と新年会でも大いに盛り上がったことでしょう。山根社長にはぜひ引き続き同友会への参加をお誘いしたいところですね。<Y> (写真は上から新入会の岡田さんと高木さん、真ん中左が講演する山根さん、下が会場の皆さん。川口から三代目事業継承の勉強にと、紅一点で潟Aクシスの田口佳奈子さんが参加されました。) |